困難は分割せよ。
突然、数学教師が言った。
* * *
といっても、おおげさな人生訓ではないようだった。今は数学の授業中だからだ。
どんなに難しい問題も、一つ一つの手順は単純な計算に過ぎない。
難問だからといって諦めてはいけない。落ち着いて、一つずつに分けて計算を解いていこう。そうすれば解答が出るはずだ……。
そういうアドバイスを端的に表現した言葉らしい。
後で調べたらデカルトとかいう昔の有名な人の言葉だった。昔の人はいいこと言うなとつくづく思う。
ただ、先生はその後にこう付け加えた。
「これは人生でも同じだ。これからみんな、大人になったら苦しいこと、つらいことに何度も当たるはずです。
でも、本当にどうしようもなく大きな壁ほど、冷静になって課題を一つずつこなしていく。そうすれば、どんなことだってこなせるから。
人生の高い壁ほど『困難は分割せよ』」
* * *
陳腐な表現だとは思う。
毎年同じことを同じ学年に向かって言ってるに違いない。
でも、難しいことほど冷静になって、一つ一つの手順を見きわめて、分解してこなしていかなければならない。これは真実だろう。
そして、
「冷静に」
「一つ一つの手順を見きわめて」
「分解してこなす」こと、それ自体が難しい。困難を分割できる人は、そもそも困難を困難と思う前にバラバラに分解して消化してしまう。だからデカルトは偉人になれたんだ。
それでも。
私(たち)は、生きているだけで困難が有り余るほどある。そしてそれは、分割する隙間もないほどに複雑に絡み合っている。
たとえ完全には無理でも、落ち着いて一つ一つに取り組んでいかないといけない。複雑な生きづらさに押しつぶされないように。
少なくとも、一見して何もできそうにない困難だからといって悲観する必要はない。
生きていきましょう。
* * *
結局、先生が解説した難問は私には理解できなかった。
困難は分割せよ。
高校生の私は、まだ本当の困難を知らないのかもしれない。
* * *
今日はエモポエムでした。
近日中に共和国旅行記を更新したい。
『困難は分割せよ byデカルト』を科学的に検証してみた。 | コラム
君の知らない物語 supercell - 歌詞タイム
↑“~~に押しつぶされないように”って書いた後にどっかで聞いた表現だな……と思ったらこれでした。