人はそれぞれ違う。
目標は一つじゃない。
多様性の尊重と互いに認め合うことは両立できる。
SNSで大切なことを、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーが教えてくれた。
この記事は
Fediverse Advent Calendar 2020(第二会場)の4日目の記事です。
ただ、とりあえずFediverseが何かとかはいったん置いておいて、先に私の近況報告を聞いてほしい。聞いてください何でもしますから。
今期のラブライブは異色
今期、私は『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』を観ている。
www.lovelive-anime.jp
ラブライブ!シリーズの3作目に当たる「ニジガク」は、これまでの『ラブライブ!』(無印)や『サンシャイン!!』とは大きく違う点がある異色の作品だ。
作画が違うこととかマネージャー役の「あなた」がいるとか、そのほかにも細かい点はたくさんあるが、大きな特徴は9人全員がソロアイドルとして活動すること、そしてそれに伴ってスクールアイドル日本一を決める大会に出場しないことの2つだろう(※いずれもアニメ9話時点の情報です)。
『無印』も『サンシャイン!!』も、それぞれ9人がユニットのμ'sとAqoursを結成した。
一方、ニジガクのスクールアイドル同好会は9人が個々のアイドル、ソロアイドルとして活動することになる。
ソロアイドルとして活動するということは、ラブライブ!への出場をあきらめることを限りなく意味する。
これまでのアニメシリーズを見る限り、大会の出場者は全て2人以上のユニット(グループ)だ。ソロアイドル部門が設けられている描写もない。
μ'sもAqoursもラブライブ!*1に出場して優勝を目指した。
アニガサキ*2の世界にもラブライブ!があることは3話で言及があった。
しかし、その3話でラブライブ!に出なくてもいいという発言が出た。
その後、4話でソロアイドルとして活動する方針が明らかになった。
アーティストとしては同好会名義の曲があり、同好会内で2,3,4人組のユニットがあるため、今後の展開で大会に出る可能性はもちろんある。
だが、同好会は今のところラブライブ出場→優勝を目標としていない。もっと本質的な夢を模索している。
個性と「最高はひとつじゃない」
3話まで同好会は分裂状態にあった。
原因はスクールアイドルとして「完璧さ」を求めてスパルタな練習を他の部員にも要求した優木せつ菜と他の部員の反目だった。
一方、そのせつ菜のソロライブを見たのをきっかけに同好会に入った高咲侑は、スクールアイドルの夢をあきらめかけたせつ菜に戻ってくるよう奔走する。
「私がいたら、ラブライブに出られないんですよ!」
スクールアイドルの目標のラブライブに出場できないと訴えるせつ菜。
彼女に侑はこう答えた。
「だったら!……だったら、ラブライブなんて出なくていい!」
「えっ……」
「あ、いや、ラブライブがどうだからとかじゃなくって。
私はせつ菜ちゃんが幸せになれないのが嫌なだけ。
ラブライブみたいな最高のステージじゃなくてもいいんだよ。
せつ菜ちゃんの歌が聴ければ十分なんだ。
スクールアイドルがいて、ファンがいる。それでいいんじゃない?」
スクールアイドルがラブライブ!に出場しない、ということは高校の野球部が甲子園を目指さないということと同じではないか。
それほどの重いことを語った上で「せつ菜ちゃんの歌が聴ければ十分」と侑は言ってのけた。
この説得で同好会は元に戻り、4話でソロアイドルとして活動する方針が決まった。
「私たちだからできる新しい一歩です」とせつ菜は言うが、ラブライブ!に出場できない(可能性が高い)こと以前に
「グループはみんな協力し合えるけど、ソロアイドルは誰にも助けてはもらえないだろうし」(近江彼方)
「正直、不安です。みなさんに喜んでもらえるだけのものが私一人にあるのでしょうか」(桜坂しずく)
という、そもそも一高校生にソロ活動ができるのかという不安がつきまとう。
しかし、その後に回を重ねるに従い、メンバーがそれぞれの悩みやコンプレックスから解放され、新たな一歩を踏み出す。
そして、9話で3000人を前にソロアイドルとしてライブをすることになった朝香果林は、舞台袖でこうつぶやいてステージに上がった。
「仲間だけど、ライバル。ライバルだけど――仲間!」
ニジガクはµ'sやAqoursのメンバー以上に個性が強い。
だが、その個性を前面に押し出し、それをソロアイドルとして表現する。
ニジガクは多様性を肯定する令和のアイドル像を描いている。陳腐な言い方(あと主語が大きい)だが、そう言い表せるだろう。
多様性とバズのない世界
Fediverse (フェディバース)とは、短文投稿やブログ、動画投稿などのサービスを提供する独立したサーバー群が、任意のプロトコルを通して相互に繋がり合うソーシャルネットワークの宇宙の概念を指した、主にMastodonなどの分散型SNS界隈で用いられている言葉である。
英語で「連合」を意味する"federated"と、「宇宙」を意味する"universe"という2つの言葉が合体してできた造語である。
Fediverseとは (フェディバースとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
Mastodon(マストドン)が2017年にTwitterの代替SNSとして流行したが、これもFediverseの一つ。
YouTubeやInstagram、Facebookの類似/代替サービスもある。
私もマストドンやMisskey(ミスキー)をやってる。
Fediverseの詳しい概念や思想、技術的な話は私も正直全て分からないし、ここでは述べない。
だが、Fediverseの特徴としていえるのが
1. 自分で管理でき、多様性がある
2. ”アルファユーザー”が存在しえず、バズらない
この2点だろう。
Fediverseの多様性
Twitterなどの中央集権型SNS、つまり「一社が管理を独占し、そこにすべてのユーザーが集まる」SNSは、当然ながらユーザーは運営会社の管理を受け、UIや話せること(何を言ってはいけないか)は統一された基準に従わなければならない*3。
一方、Fediverseの各種SNSは自分でサーバーを立てることができる。
もちろん自前で立てずに他の人がたてたSNSに登録することもできる(というかそっちの人の方が多い)が、Mastodonなどはこうした自主管理を目的として誕生した。
自分でデザインやUIを自在に変えることができ、発言一つで運営から凍結されることもない*4。
こうして私たちはTwitterにはない多様性を手に入れた。
そして、"federated"=SNS同士が連合する=相互にリプライやリツイートで交流できることで、互いに孤立せずにその多様性が尊重される*5。
アルファがいない
また、Fediverseはその構造と性質上、Twitterでいうアルファツイッタラー=多数のフォロワーを抱え、発言に反響力を持つユーザーが存在しえない、まったくいないとまでは断言できなくてもTwitterほどは影響力も少ないといえる。
Fediverseの各サービスのユーザー数は決して多くない。
最大級のユーザー数を誇るPawooでも12月時点で約65万人。
3億人以上が利用するTwitterとは比べ物にならない。
残念ながら、Twitterが廃れてFediverseにユーザー全員が移行するというのも考えづらい。
そのため、Twitterにはたくさんいる数万から数百万のフォロワーを従えるアルファユーザーはほぼ存在しない。
Fediverseではフォロワー数=戦闘力というような図式は成立しないのだ。
だから何十万リツイート*6という「バズ」も生まれない。
これはFediverseの欠点ではない。むしろ強みだ。
Fediverseのユーザーはフォロワー数やバズという目先の数字に追われる必要がない。
単一の価値観に縛られず、自分の「好き」を追求できる。
ニジガクにSNSの可能性を見つけた
ソロアイドルとして個性を互いに認め、「ラブライブ優勝」だけが目標じゃないと気付いた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。
多様性がありながらも相互に連合し、単一のバズを目指さなくて済むFediverse。
Fediverseはμ'sでもAqoursでもなくニジガクなのだと改めて気付いた。 二つは似ている……というか、それぞれ新しい時代のアイドル/SNSの様式を指し示しているといえるだろう。
ありがとう、かすかす。
「かすかすじゃないです!かすみんです!!」
なんだこれ
なんだこれ。
関連リンク
考察など参考にさせていただきました。
アドベントカレンダーの主催者。SNSに関する考察や見解は度々参考にさせていただいています。
よくブースト/リノートで投稿が回ってくるのでフォローしていないことに最近気づいた。
jk17.hateblo.jp
昔書いた。
jk17.hateblo.jp 結局生きのこった。
jk17.hateblo.jp 私のふぇでぃばアカウント一覧です。
ではまた。